お知らせnews

令和元年度 第6回 健全育成専門委員会 議事録

2020.01.23

日時:令和元年12月10 日(火)10:00~

令和元年度 第6回 健全育成専門委員会 議事録

日時:令和元年12月10 陽(火)
場所:KEC 806号室

記録:副委員長
出席者:16名

  1. 講演
    『知っていますか?見えていますか?◯◯のよいところ』
    講師:神戸市PTA恭議会事務局長 谷口 文昭

    ◯はじめに
    今日は気楽に聞いていだだければと思います。今日、お話しする事は私の経験、考えですので全て正しいわけではありません。その中の一つでも参考になれば幸いです。
    自己紹介ですが元教員で38 年間教員生活を送りました。私が校長になった時のPTA 会長がことある度に「若い先生を一緒に見守って、一緒に育てて欲しい」と言われていました。その当時の先生方とお会いすると、そのスタンスが嬉しかったと今でも話します。

    ◯ウォーミングアップがわりに
    [駐車禁止の標識(2種類)をホワイトボードに貼る]
    どちらが正しい標識だと思いますか?→正解率は半々
    毎日見ていても見落としている。
    [謎のイラストをホワイトボードに貼る]
    何に見えますか?→キリストのイラスト(大半は初見では分からなかった)
    この事から分かるのは、こちらで情報を掲示しても十分に受け取れていない場合もある。例えば学校で掲示物を出しても、その情報を十分に受け取れていない子もいる。一方通行にならないように気をつけよう。

    ◯子どもは親の言うようにしないが、親のするようになる。『子は親の鏡』
    勉強をして欲しいのに言う事を聞かない、何回言っても聞かない子ども。皆さんが子どもの時はどうでしたか?思春期はどうでしたか?どう言われればやる気がでましたか?答えは一つではなく、その子に合った処方箋があるはず。それが一番分かるのは親だと思います。その子の特性を理解し、好奇心を育てるのが親の仕事であり教師の仕事ではないかと思います。
    [全員に『( )のよいところ』と書かれたプリントを配る]
    ( )にお子様の名前を記入し3分間でお子様のいいところを書けるだけ書いてください。

    〜3分経過〜

    一番多く書けた人は11 個。悪いところに目が行きがちですが、一番身近なお父さん、お母さんにはいいところを沢山見つける名人になって欲しい。教員時代、教職員間同士でも実施する事で教員同士がお互いを知ろうとするきっかけになった。
    ※資料『子は親の鏡』と『ジョハリの窓』を見ながら話を進め、最後に山本五十六の言葉で締める。
    やってみせ 言って聞かせて させてみせ ほめてやらねば 人は動かじ
    話し合い 耳を傾け承認し 任せてやらねば 人は育たず
    やっている 姿を感謝で見守って 信頼せねば 人は実らず

    ◯正しい事は( )に言え
    ( )に当てはまる言葉を書いてください。
    オブラートに、謙虚に、堂々と、大きな声で、小さな声でなど様々な意見。
    私がよく言うのは「正しい事は休み休みに言え」です。自分にも自戒の念として言い聞かせています。教員時代、担任の先生には、個別懇談で保護者の方とお話をする時は、注意しなければいけない事は休み休みに言ってくださいと伝えました。子どもの悪い所は先生よりも保護者がよく知っています。子どもが学校という大きな集団の中で発揮している良い所、活躍している事を話して欲しいと言いました。ただし、命に関わる事、尊厳に関わる事、家庭環境をからかうなどは厳しく注意する。

    ◯失敗した時の親の対応・教師の対応
    私の家庭は母親が厳しく、父親が優しい環境でした。母親にはよく叱られ追いかけ回されましたが、一晩寝るとリセットされていました。どんなに厳しく叱られても翌朝には朝ご飯が並び、笑顔で「おはよう」と言ってくれました。その姿に、同じ事は繰り返してはいけないと思いました。もし母親が昨日の事を「お前なー!」と叱る延長戦が始まっていたら私は追い詰められていたと思います。
    私が高校3年生の時に友達と喫茶店に入り、友達がタバコを吸おうとしている姿を生徒指導の先生に見つかった事がありました。クラスと名前を聞かれ、後日、友達は呼びだされ叱られました。私もいつ呼び出されるのかドキドキしていたのですが呼び出されませんでした。先生に何故か聞きに行くと「お前を信じている。そんな事しないよな?」と言われて終わりました。それ以来、この先生に絶対恥をかかせてはいけないと強く思いました。今でも母親と先生の対応はありがたかったなと思います。

    ◯子どもの前で( )の悪口は言わないで
    ( )に当てはまる言葉を、自分が校長先生で保護者に伝えたいと思う事を想像して書いてください。
    先生の悪口を言わないで、という意見がでる。
    そうですね。というのは「◯◯先生あかんな」というネガティブな言葉を聞くと子どもは「あかん先生やねんな」とインプットされてしまいます。子どものいない所で、例えば個別懇談などで「先生、あのテストの採点方法はおかしいと思います」というように言ってもらえるとありがたいです。ご家庭でも妻の悪口、夫の悪口を子どもの前で言わない方がいいと思います。

    ◯若手教師時代の失敗・公民館指導主事時代の失敗
    若手教師時代、放課後は子ども達とよく遊びました。ある日、いつもと同じように子ども達と遊び、職員室に戻ると机の上に子ども達に配らなければいけない注射の問診票が。私の時代は学校で予防注射をしていたので、前日に熱を測り、注射を打つのか確認しなければなりませんでした。大急ぎで各家庭に回り問診票を配りに行ったのですが数が多くなかなか配れませんでした。そんな私の様子を見たあるお母さんが「先生困っているんやからあんたらも手伝い」と言って、集まって遊んでいた子ども達と一緒に各家庭に配っていただき、本当に助けられました。
    公民館指導主事時代にしてはいけない失敗をしました。バレーボール教室、卓球教室などの教室の予約を年度始めにするのですが、予約に来られた方が「手が痛いので代わりに書いてくれませんか」と言われました。名前を書き、「教室はどちらですか」と尋ねると「ふれあい学級です」と言われました。ふれあい学級は識字学級の事で、識字学級の予約だったのです。識字学級とは差別や貧困などで学ぶ機会を奪われ、読み書きができない人達が字を習いに来る学級です。つまり字をうまく書けない人に対して字を書けと失礼なことを言ってしまったのです。それでもその方は怒らず「手が痛いので…」とその場を収めてくださったのです。
    特別支援学級で担任をしていた事がありました。ある子は登校して1時間目の終わり頃にウンチをするんです。トイレに連れて行くんですけどトイレではしないんです。どうしようかな、と前の担任の先生に相談すると「ウンチするんやろ?場所は違うかも知れんけど、ウンチをするという事は先生に安心しているんやで」と言いました。確かにそうだな、後始末をすればいいだけなんだと思えました。でも今度は後始末の事で悩みました。汚れがなかなか取れないのです。妻に相談するとお湯で取れるよ、と教えてくれました。魔法のように汚れが取れました。今までいかに子育てをしていなかったかと思い知らされました。

    ◯同じように育てても、同じようには育たない。

    ◯変わっていく家族像。変わっていく社会
    教員時代に感じたのは、子どもが叱られると自分の子育てを否定されたように思う保護者の方が多かったことです。全くそんなつもりはないですし、困った事があれば担任に相談して、一緒に育てていく気持ちで良いと思います。昔であればお爺ちゃんお婆ちゃんがそういった役割を担っていたと思いますが、核家族化が進んでいますし難しくなってきているように思います。
    二分の一成人式をご存じですか?10歳になったら行われる式です。私が校長の時、子ども達にこんな質問をしました。
    「皆さんとお父さん、お母さんはどちらが先に生まれましたか?」
    子ども達は「お父さんお母さんが先に決まってるやん!」と言いました。
    しばらくして私はこう言いました。
    「同時に生まれてきたんだよ」
    「A子ちゃんが生まれたからお母さんになったんだよ」
    「A子ちゃんが1歳になったという事はA子ちゃんのお母さんも1歳、お母さんになったんだよ」と子ども達にも保護者の皆さんにも伝えました。
    子どもの数がどんどん減ってきています。2017年で1,571万人。2040年になると1,194万人になると言われています。単純に言うと400 万人近く減るということになります。
    小学校の数は10年前が22,420校でしたが2018年調べでは20,000校ほどです。約2,500校減っています。10年後から20年後、今の仕事のほぼ半分は減りますよ、とオックスフォード大学のオズボーン氏が論文で発表していました。どんどんと変わっていく時代ですが、子どもが大事なのは変わりませんし、子どもも変わっていません。変わっているのは大人であり、周りの環境だと思います。子どもが成長できる環境を整えるのはいつの時代も変わりません。

    ◯おわりに
    学校、子育て、仕事、近所付き合いなど、色々な場面で悩みが出てくると思います。ストレスの無い世界はありません。子どもも保護者の皆さんも自分だけで悩みを抱え込まないでください。相談できる相手を見つけてください。

    ◯質問タイム
    Q.家族からも先生からも愛され、受け入れられ、心の広い、正義感の強い子どもに育った子が社会に出て叩き潰される事があります。そういった厳しい状況に直面した時、どう支えてあげれば良いのか?と悩んでいます。
    A.個人的な思いですけど叱られ慣れていない子ども、言葉は悪いですけど温室で育った子どもは社会に出た時にギャップで苦しむかなと思います。学校現場でも同じような事を感じます。中1ギャップといって、小学校から中学校に入学した際、環境の変化についていけず、いじめが起きたり、不登校になったりする現象の事です。大きなギャップの中で大事になってくるのはやはり家庭かなと思います。悪い事をした時は叱らなければいけないですし、物事の良し悪しをきちんと教えなければいけないと思います。
  2. 総括
    教育課担当係長
    今日は親の立場で聴かなければいけないと思っていましたが、今日のお話しにありました『子は親の鏡』のところで、これは教師としても同じだなと思いました。教師と親は違うようで似ているところがあるのだなと思いました。元校長先生としての姿、親としての姿、両方の話しを聴く事ができて良かったです。ありがとうございました。

次回予定 第7回 1月28日(火)10:00 〜 12:00 KEC 605号室

お知らせ一覧へ