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広報だより


広報専門委員会だよりNo.1 〜取材インタビュー報告〜

広報委員会では6月からの8ヶ月間、PTA神戸第109号、第110号の発行に向けた活動をおこなってきました。普段の専門委員会は、編集会議、取材、原稿作成などの作業が中心で、なかなか皆さまにご報告することができませんでしたが、取材・編集活動を通じて学ばせていただいたことの中で、「是非、これは皆さまにもお伝えしたい!」と感じたことを2回にわけてご報告させていただきます。



第1回は第110号の1面記事「夢は叶う・・・ 〜ディーン博子さんへのインタビュー」です。平成25年10月17日、広報専門委員4名がディーン博子さんにインタビューしました。博子さんは、神戸出身の槍投げオリンピック選手 ディーン元気さんのお母様でいらっしゃいます。2時間に渡って貴重なお話をたくさん伺いましたが、紙面にはその一部しか掲載できませんでした。子育てのエッセンスが詰まった素敵なインタビュー全文を、この報告でみなさまにもお届けさせていただきます。


☆Big baby 誕生
_元気さんは生まれたとき4700gだったそうですね。
姉も3780g、兄も4180gでしたね、でも超安産で兄は飛び出てくるように生まれました。
姉が1歳の時に神戸にきました。元気は神戸、垂水で生まれ育ちました。

☆元気選手の幼少期
彼が8ヵ月のころ伝い歩きをはじめて、10ヵ月のころには歩き出しました。
ちょうどそんな時期に、投げた銀製のコースターが兄の眉間に命中してけがをさせたり、ねこのしっぽをつかんでほうり投げたり…。中学生になってからもほうきを投げていたそうです。なんでも投げていました。
とにかく好奇心が旺盛で、なんでもやってみたいという子どもでした。
祖父がセメントで穴を埋める作業をしているのを見て、僕もやるといって聞かなかったり…難しいことでも出来るまでやり通す、今の彼に通ずる意思の強さがあったと思います。

幼稚園時代は自然の中でよく遊びました。里山の草の上を滑り降りたり、樹の上に基地を作ったり。幼稚園では好きなことしかしないんですよね、教室に入らず、ずっとバスの運転士さんと遊んでいて給食の時だけ入ってくる。先生は心配する私に「大丈夫、そのうち戻ってくるから」と。好きなことをさせてくれて、強制はしない。大らかに受けとめてくれました。
身体は強く、風邪もあまりひかなかったですが、ケガは絶えなかったですね。頭部だけで8か所縫いました。目の玉を草で切り、縫った事もあります。その時は、1ミリずれていたら失明していた、と言われました。
園外保育で草原をころがり、石に頭をぶつけて救急車で運ばれたり、庭で遊んでいていつのまにかいなくなり、パトカーで保護されて帰ってきたり。
もうこの子は10歳まで生きられないんじゃないかと本当に思いました。常に寿命が縮まる思いをしていましたね。
元気は、あまり机の似合う子ではなかったから(笑)親から勉強しなさい、とは言いませんでした。
ただ、宿題をすませないと遊びにいけないと言っていたので、学校から帰るとババッとやって、遊びに行っていました。夏休みも宿題をもらってすぐに全部やってしまい、あとは思いっきり遊ぶ…というタイプでしたね。兄は正反対でしたが…。

☆父親としつけ
父親はしつけに関して、子どもにとても厳しかったですね。イギリスでもそうでしたが、昔の父親は日本でも厳格な存在であったと思います。テーブルマナーであったり、目上の人に対しての振る舞いであったり。
イギリスに数回帰ることがあったのですが、バスに乗る時は、お年寄りや体の不自由な方がいらしたら、必ず席を譲りなさいと言っていました。
日本では子どもを座らせて親が立っている…という光景を見かけることがありますが、それはおかしい、と指摘していました。日本でしてもいいことがイギリスではダメ、という私に「マミーはイギリスでは怖くなる」と言っていました。
そういう意味では子どもたちは辛い思いをしていたかもしれませんね。
ゲーム機などは買い与えませんでした。父親が「NO」と言ったら天地がひっくり返っても子どもが泣きわめこうと「NO」なんです。友達が持っているので興味はあったようですが…。テレビが故障して映らなくなった時も、数年、買い替えませんでした。

☆姉と兄
元気のなかでは三歳上の兄がいつもまぶしい存在で、その背中を追って少年野球に入りました。ポジションも兄と同じキャッチャー。兄が陸上を始めれば自分も陸上に…と。兄が陸上をしていなければ、今の元気は存在してないでしょうね。
 色々な相談ごとはやはり兄にしています。友達にビデオを撮ってもらって、自分のフォームのどこが良くて、どこが悪いか、飛んだときのフォームはどうだったか、などアドバイスしてもらっていますね。
姉も良き相談相手です。兄弟の仲が良いことは宝だと思っています。

☆子育て
他のオリンピック選手(福原愛さん、内村航平くん)などは、小さいころから英才教育でしたが、私が取材を受けるようになって、元気くんはどうでしたか?とよく聞かれます。「実は、ほっときました」とはいえず (笑)、元気は三番目の子どもなので、いつの間にか大きくなったといいますか、本当に好きなことをさせていました。
子どもたちには色々なことをさせましたが、続けることにこだわらず、本人がやめたいといえば、それ以上はさせませんでした。
姉と兄は、父親が剣道の留学生だった事もあって、小学校の時から剣道をしていましたが、二人ともきびしい練習や防具をつけることを怖がったため、元気には剣道をさせませんでした。
姉は習字を6年間続けました。師範の資格をとるまでがんばりました。それは彼女にむいていたからでしょうね。「好きを育てる」ということを大事にしましたね。

☆親からの支援
試合にはどんなに遠くであっても夫婦で応援にいきます。それは小さいころからずっとですね。子どもたちも、私たちが見に来るのを喜んでいたようです。
成績が振るわなかったときに、フォローすることはありません。なぐさめはいらないって言います。かるく「調子はどう?あなたは必ず金メダルとるからね」と言うくらいですね。リオがだめでも東京で…年齢的にもよいと思っています。

親にできることは、陸上のことはわかりませんから、食事は「バランスよく」という事に気を使いました。栄養分が損なわれないような調理法は勉強しましたね。たとえば、生野菜でも少しの油をまぜる・昼間は動物性のタンパク質を、寝る前は植物性のタンパク質を摂る、など。
家での料理は、カツオや昆布などでだしをとります。私だけのときは市販のものを使うこともありますが(笑)
私の母は九州の人でしたから、高菜、切り干し大根、おから、ひじきなどどれか一つは食卓にありました。母がしてくれたことを、私もしているだけなんです。

☆元気の源はマミーの手料理
_元気さんが帰省されたとき必ず食べるものってありますか?
特にないですが、これからの時期(晩秋)だとシェパーズパイを作ります。これは本当に大好きですね。羊飼いのパイという意味で、ミンチ肉と野菜を味付けしたものを耐熱皿にしき、その上にマッシュポテトでカバーしてチーズをのせて焼くんです。家族の帰りが遅くなっても温かさが保てるようにと作られています。
元気は、好き嫌いは全くありません。なんでも食べます。私の両親は「食べ物の好き嫌いをすると、人にも好き嫌いをするようになるから」と教えてくれました。
高校時代はとにかくよく食べましたね。とくに朝は小さなアンパンを5個食べてから朝食…といった感じでした。風邪などで食べない日があると一日で2〜3kg痩せてしまうんです。だから意識して食べていました。身体作りの為には、食べることもトレーニングなんですよね。大学に行ってからは食事の管理も自分でしています。お菓子もファーストフードも食べません。炭酸飲料も飲みませんね。

☆元気選手の長所
元気が小学校の時、父親の会社でファミリーフェスティバルがあり、そこで大人に交じってダーツの試合をして、見事優勝、商品のテレビゲームをもらって来ました(笑)。他にも、ペットボトル飛ばしで景品を当てるなど、小さい頃から勝負強いです。
それから、物怖じしない性格ですね。緊張することがもったいない、せっかく練習したことを緊張で発揮できないなんて、もったいないと言っています。
彼のリラックス法は「人としゃべること」。英語が話せるということもありますが、海外の有名な選手に、自分からコミュニケーションをとって、Tシャツを交換していました。私も羨ましかったです(笑)。
オリンピックに行って、誰に会いたい?と聞くと「内村航平くんに会いたい」と言いました。小柄でありながら、あのバランスのとれた身体を作りあげていることがすばらしい、と言っていました。
負けず嫌いで、一番でないと、許せないんです。一位でなかった時の賞状・新聞記事などは全部捨ててしまっているようですね。だからうちには一位の時のものしかないんです。

☆高校大学進学
市立尼崎高校には体育科があり、スカウトで進学しました。
通学には自宅から1時間半かかり、通学の時間を使って学校の勉強をしていたようです。
競技のノートも、ずっとつけていました。今日の練習メニューは…何キロ走ったか、食事のメニューまで細かく記録していました。
勉強と競技の両立、長距離通学、と、よく頑張ったと思います。
大学への進路も本人に決めさせました。色々な学校から案内があり、本人も迷っていましたが、そのあいだに練習時間が無くなってしまう事もあり、当時のコーチの助言と本人の希望で早稲田への進学を決めました。
昨年、やり投げが国技であるフィンランドに、一か月半ほど行ってきました。そこで彼は、多くの事を吸収してきたようです。帰国後の顔つきが全く変わっていましたね。それから、昨年の4月29日の広島の会場で歴代2位という記録もだしました。
フィンランドではスポーツ科学が進んでいます。個々の身体能力のデータから、彼はこれくらいの記録が出せる、と有名な選手を育てたコーチが言ってくださるので、将来的に伸びていくだろうなと期待しています。

☆神戸の子どもたち、育児世代へメッセージを
ビジョンを持つ、いくつになっても、たえず目標をもつということが大事ですね。
オリンピックを目指すことにかぎらず、音楽会で輝く子もいれば、運動会で頑張る子もいる…さまざまな未来があるわけですから、いろんなことに挑戦してみる。興味のあること、好きなこと、失敗することもあり、両立にも悩むけれど、どんなことも貴重な経験で、それぞれの得意な分野で頑張れればいいと思っています。
親は子どもの得意なことを観察してみる。挑戦する彼らを見守る。そして「好き」なことを見つけることが大切。
私も英語が好きで留学をして勉強し、英語を使う仕事もしてきました。それは好きであったから。やらされていることは、やはりそこまでで終わってしまいます。

以前、参加したセミナーで、「5年後のビジョン」を書く機会がありました。
「5年後の我が家」と題して子どもたち、主人、自分について書いた内容は、現在の状況とあまりぶれていません。ということは、一度、1年後、3年後でもいいから未来のビジョンを描く、ということを、想像してみてください。とてもいいことだと思います。日々の過ごし方が変わってくると思います。
私もまた、数年後に向けてのビジョンを実現するために頑張っています。今は子供中心の生活でも、子どもが大きくなって自分から巣立っていった時に、そこから自分のための新たなビジョンを持つことも大事ですよね。

☆最後に、英語でメッセージをいただきました。

「KEEP IT GOING」…思い続けること、挑戦し続けること…

結果を出している人は、地道に素直に謙虚に努力を続けています。夢を心に描き続け、行動し続けることが大切です


博子さん、本当にありがとうございました。


<ディーン博子さんへ5つの質問 2013年11月版>

Q1.尊敬する人は?

…A1.尊敬する方は沢山いらっしゃるのですが…やはり両親ですね。


Q2.コミスタ神戸の講師になられたきっかけは?

…A2.社会貢献です。
    子育てで悩んだ時、勉強したり教えて貰ったりして、実践して良かった事や、
    日本の良い所を伝えて行きたいと思いました。
    世代間のギャップを埋められたら良いなと思っています。
    先日講演した時、子育てセミナーにも関わらず、参加者が祖父母世代で驚きました。
    孫の今と未来を心配しての質問に、おじいちゃんおばあちゃんに出来る事をお伝えしました。


Q3.座右の銘は?

…A3.「夢は叶う」=「Dreams come true / Keep on going」です。
    小さい頃からこうと決めたら実現するまで行動します。
    結婚する時も、帰国して「やっぱり日本人が良い」と言っていたのに、
    イギリス人と結婚するなんて、と随分反対されましたが、説得して意志を通し、
    両親も最後は快く送り出してくれました。
    (お姉ちゃんはロンドンで誕生です♪。)


Q4.日本語と英語、会話時の違いはありますか?

…A4.人と会話するのが好きで、英語も使う仕事もしていて感じるのが、
    日本語の方が語彙が豊富で、感情の機微など表現方法が多彩、という事です。
    例えば、日本語では季節や色をあらわす言葉は、英訳出来ないような繊細な表現が
    多いですね。

    英語が好きで、アメリカに語学留学した時、最初のうちは意思疎通が難しかったです。
    でも諦めませんでした。
    「英語は度胸」です。        
    子ども達もどちらも話せますが、長女は英語の方がラク、と言います。
    人によって表現し易い言語があるのだと思います。


Q5.国際結婚は大変ですか?

…A5.日本国内でも、土地柄・家風の違いなどあります。
国籍の違いこそあれ、お互いを理解し、助け合う事が大切と思います。
    義母は、主人の結婚を心配していた事もあって、実の娘のように可愛がってくださいます。
    街を歩く時も腕を組んで、など、とても仲良しです。
    イギリスでは日本と違い、息子の嫁は可愛いと言われ、嫁と姑という概念は
全く感じられないです。



☆インタビューを終えて……取材メンバーより

…小柄なのに存在感のある方で、一人の女性として憧れます。子どもの自由と個性を尊重する、育児方針を貫く大らかさと強さには、頭が下がりました。 (中西)

…自分の人生は自分で切り開き、今も前に進んでいる…現在進行形の状態で、子どもには自分の考えを押し付けることなく、枠にはめることなく…といった強さと柔軟さを合わせ持った素敵な方でした。元気選手の物怖じしない自然体の姿はまさに、博子さんそのもののような気がしました。 (福岡)

…自分の足で行って会って話をする・聞いてみる事で、たくさんの気付きがありました。とても良い経験でした。 (坪本) 

…「シェパーズパイ」は子どもたちに大人気!我が家の定番です。 (大森)


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